親が亡くなり、実家について相続手続きを進めようとしたとき、
「そもそも、この家は誰の名義になっている?」
「父の名義だと思っているけれど、本当にそうなの?」
「土地と建物は同じ名義なの?」
と疑問に思うことがあります。
長年家族で暮らしていた実家でも、登記を確認してみると、亡くなった親ではなく祖父母の名義が残っていたり、土地と建物で所有者が違っていたりすることがあります。
相続した実家を今後どうするか考えるためにも、まずは「どの不動産があり、登記上は誰の名義になっているのか」を確認することが大切です。
この記事では、亡くなった親の家や土地の名義を確認する方法、登記事項証明書の基本的な見方、親が所有していた不動産が分からない場合の調べ方についてわかりやすく解説します。
家の名義を確認するなら、まず「登記」を確認する
不動産の名義を確認するときに基本となるのが、法務局で管理されている不動産登記です。
土地や建物には、それぞれ登記記録があり、
- どのような土地・建物なのか
- 登記上の所有者は誰なのか
- 所有権がどのように移ってきたのか
- 住宅ローンなどの抵当権が設定されているか
などを確認できます。
登記内容を証明する書類が、一般に「登記簿謄本」と呼ばれることもある「登記事項証明書」です。
亡くなった親の家の名義を確認するときは、まずこの登記事項証明書を確認するのが基本です。
土地と建物は別々に確認する
実家を確認するときに注意したいのが、土地と建物はそれぞれ別の不動産として登記されているということです。
たとえば、
- 土地:父名義
- 建物:父名義
というケースもあれば、
- 土地:祖父名義
- 建物:父名義
となっているケースもあります。
「この家は父のものだった」と家族が認識していても、登記上の名義まで同じとは限りません。
そのため、一戸建ての実家について調べる場合には、土地と建物の両方を確認するようにしましょう。
登記事項証明書のどこを見れば名義が分かる?
登記事項証明書にはさまざまな情報が記載されています。
初めて見ると難しく感じるかもしれませんが、所有者を確認するときは主に「権利部(甲区)」を見ます。
甲区には、所有権に関する登記が記録されています。
ここを見ることで、登記上、誰が所有者として記録されているのかを確認できます。
一方、「権利部(乙区)」には、抵当権など所有権以外の権利に関する事項が記録されます。
たとえば、住宅ローンを利用して購入した家では、金融機関の抵当権に関する記録が残っていることがあります。
まず名義だけ確認したい場合には、
「甲区の所有者は誰になっているか」
を確認してみましょう。
登記事項証明書はどこで取得できる?
土地・建物の登記事項証明書は、法務局で取得できます。
主な方法として、
- 法務局の窓口で請求する
- 郵送で請求する
- オンラインで交付請求する
といった方法があります。
オンラインで請求し、証明書を郵送で受け取ったり、指定した登記所の窓口で受け取ったりすることもできます。
また、「証明書までは必要なく、まず登記内容を確認したい」という場合には、インターネット上で登記情報を確認できる「登記情報提供サービス」を利用する方法もあります。
実際の相続登記などで正式な証明書が必要な場合と、単に内容を確認したい場合では必要なものが異なるため、目的に合わせて利用しましょう。
住所だけでは登記を探しにくい場合がある
登記事項証明書を取得するときに戸惑いやすいのが、普段使っている住所と、不動産登記に使用される「地番」が異なる場合があることです。
たとえば、普段使っている住所が、
「○○市○○町1丁目2番3号」
だったとしても、不動産登記上の土地の地番が同じ数字とは限りません。
地番を確認する手掛かりとしては、
- 固定資産税の納税通知書・課税明細書
- 以前取得した登記事項証明書
- 権利証・登記識別情報通知
- 購入時の売買契約書
などがあります。
まずは実家に残されている不動産関係の書類を確認してみるとよいでしょう。
固定資産税の書類だけで「現在の名義」を判断しない
固定資産税の納税通知書や課税明細書は、親が所有していた可能性のある不動産を把握するうえで参考になります。
ただし、不動産の登記名義を正確に確認したい場合には、登記事項証明書などで登記内容を確認することが大切です。
また、昔の権利証や売買契約書が見つかった場合も、その後に売却や贈与、相続などが行われている可能性があります。
「家にあった書類に父の名前が書いてあるから、現在も父名義だろう」
と判断せず、現在の登記記録を確認すると安心です。
親がどこに不動産を持っていたか分からない場合は?
実家の場所が分かっている場合は、その土地・建物の登記を確認できます。
一方で、
「親がほかにも土地を持っていたような気がする」
「昔、地方に土地があると聞いたことがある」
「固定資産税の書類が見つからず、所有していた不動産を把握できない」
というケースもあります。
こうした場合に利用を検討できるのが、2026年2月2日から始まった「所有不動産記録証明制度」です。
2026年開始|所有不動産記録証明制度とは?
所有不動産記録証明制度は、特定の人が登記簿上の所有者として記録されている不動産を検索し、一覧にして証明する制度です。
亡くなった方の相続人も請求することができます。
これまで不動産登記は土地や建物ごとに記録されていたため、
「父が全国のどこに不動産を所有していたのか」
を一括して調べることは簡単ではありませんでした。
新しい制度では、亡くなった親などが登記上の所有者となっている不動産を一覧的に確認できるため、相続する不動産の見落としや相続登記の漏れを防ぐためにも活用できます。
所有不動産記録証明書は、相続人など一定の方が法務局へ請求できます。
「実家以外にも親名義の土地があるかもしれない」という場合には、この制度について法務局や司法書士へ確認してみるとよいでしょう。
登記を確認したら祖父母の名義だった場合は?
実家の登記を確認すると、亡くなった親ではなく、すでに亡くなっている祖父や祖母の名義が残っていることもあります。
この場合、
「父が相続していたはずだから、父名義として扱えばいい」
という単純な話ではありません。
祖父母が亡くなった時点の相続関係まで確認し、どのように権利が引き継がれているのか整理する必要があります。
時間が経過していると、当時の相続人も亡くなっていて、さらに次の相続が発生している場合もあります。
こうしたケースでは関係する相続人が増えることもあるため、早めに司法書士などへ相談することをおすすめします。
親名義のままだったら相続登記が必要
登記を確認した結果、亡くなった親が所有者として記録されている場合には、相続の内容に応じて相続登記を進めることになります。
2024年4月1日から相続登記は義務化されています。
原則として、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、遺産分割によって不動産を取得する人が決まった場合にも、原則として遺産分割成立の日から3年以内に、その内容を反映した登記を行う必要があります。
相続登記の期限については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「相続登記はいつまで?義務化と2027年3月31日の期限をわかりやすく解説」
具体的な相続登記の手続きについては、司法書士へ相談するとよいでしょう。
兄弟がいる場合は「誰の名義にするか」も考える
親名義の実家が見つかったからといって、すぐに兄弟全員の共有名義にする必要があるわけではありません。
相続人が複数いる場合には、遺言の有無や相続関係を確認したうえで、必要に応じて遺産分割について話し合います。
実家については、
- 一人が取得する
- 一人が取得し、ほかの相続人へ金銭を支払う
- 売却して代金を分ける
- 複数人で共有する
などの方法が考えられます。
実家がある場合の遺産分割については、こちらの記事も参考にしてください。
「遺産分割協議とは?実家がある場合の分け方・注意点をわかりやすく解説」
家の名義を確認した後に整理したいこと
実家の名義を確認できたら、それで終わりではありません。
次に、
- 誰が相続するのか
- 誰かが住む予定はあるのか
- 空き家として所有を続けるのか
- 賃貸に出すのか
- 売却するのか
を考えていきます。
まだ方向性が決まっていない場合には、売却だけを前提にする必要はありません。
それぞれの選択肢や維持費、不動産の状態などを整理してから考えることが大切です。
相続した実家をどうするか迷っている方は、こちらの記事もご覧ください。
「相続した実家はどうすればいい?売る・貸す・住む・残す選択肢をわかりやすく解説」
実家を売却する方向性が決まった場合は
名義や相続関係を整理した結果、
「誰も住む予定がないので売却したい」
という方向性になることもあります。
相続不動産を売却する場合には、通常、必要な相続登記などを行ったうえで売却手続きを進めていきます。
和継プランニングでは、相続・空き家についてのご相談に加え、売却する方向性が決まった方に向けた不動産売却専門の売買仲介サービスを行っています。
査定価格だけではなく、
- 売出価格
- 販売戦略
- 売却までの想定期間
- 売却に必要な費用
- 最終的な手残り
まで整理しながら売却を進めます。
相続した実家や土地の売却を具体的に検討している方は、こちらをご覧ください。
まだ売却すると決めていない場合は、まず名義や不動産の状況を確認し、残す・利用する・貸す・売るという選択肢を整理するところから考えても問題ありません。
まとめ|まずは「どの不動産が、誰の名義なのか」を確認しましょう
亡くなった親の実家について相続を進めるときには、まず登記上の名義を確認することが大切です。
基本的な流れとしては、
- 固定資産税関係の書類などから不動産を把握する
- 土地と建物それぞれの登記を確認する
- 登記事項証明書の甲区で所有者を確認する
- ほかにも不動産がある可能性があれば所有不動産記録証明制度も検討する
- 相続人や遺産分割について整理する
- 必要な相続登記を行う
- その後、実家をどうするか考える
という順番で整理すると分かりやすくなります。
特に、登記を確認した結果、祖父母など以前の世代の名義が残っている場合には、相続関係が複雑になっていることもあります。
分からない場合には、無理に自分だけで判断せず、登記については司法書士などの専門家へ相談しましょう。
和継プランニングでは、相続・空き家・不動産について、「まず何を確認すればいいのか分からない」という段階からご相談を承っています。
不動産については、売却だけを前提にせず、現在の状況を整理しながら今後の選択肢を一緒に考えていきます。
※本記事は2026年9月時点の法令・制度および公表情報をもとに、相続不動産の名義確認について一般的な内容を解説したものです。登記や相続関係は個別の状況によって異なります。具体的な法律判断については弁護士、登記手続きについては司法書士、税務については税理士などの専門家へご確認ください。
この記事を書いた人
和継プランニング 代表 宮澤 和希
宅地建物取引士/FP2級・AFP
不動産会社で不動産売却のご相談や売買仲介業務に携わってきた経験をもとに、相続不動産・空き家・不動産売却について、一般の方にもわかりやすい情報発信を行っています。
「売ること」だけを前提にせず、ご家族の状況や今後の希望を整理しながら、必要に応じて司法書士・税理士・弁護士などの専門家とも連携し、解決方法を一緒に考えることを大切にしています。
